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『エルビス・プレスリー珠玉の晩年歌唱』  

『エルビス・プレスリー珠玉の晩年歌唱』  _e0105937_1771582.jpg#185 【エルビス・プレスリー/エルヴィス・ナウ】
で、前回からの続きだが。ビートルズファンは苦手と書いたから、まるでビートルズファン全部が悪いやつのように、わたしが思っていると誤解されたら困るので、いいほうの例も書いておこう。ま、やはり、何のファンというより、すべてはその人の性格なのよ。

高校へ進学して最初に出来た友人は、やはり音楽の話がきっかけだった。彼も熱狂的ビートルズファンだった。出会いは休憩時間にわたしがビートルズのメロディを鼻歌で歌っていたら、彼が曲名を言い当てたのだ。シングル曲ではないので相当のファンとみた。アルバムは何枚くらい持っているのと聞いたら、なんと全部持っているという。彼にも洋楽狂いの兄がおり、ほとんどは兄貴のものだというが。早速わたしは彼の家にいって聴きまくる。彼はビートルズは勿論好きだが、偏見がなくなんでも好きだった。当然わたしのコレクションもすべて気に入った。彼は本当にいいやつでわたしは人生で彼ほど優しい人間にあったことがない。勿論いまでも大親友だが、高校時代は彼のおかげで本当に楽しかった。

というわけで、わたしが高校に入学した1974年頃は、たしかQUEENがデビューし、ZEPPLINは「聖なる館」、EL&Pは「恐怖の頭脳改革」とかDパープルはLIVEが売れまくっているころで、とにかくROCKはハードロック、プログレが最も人気があった時代だ。そうそうピンクフロイドの「狂気」やエルトン・ジョン「グッバイ・イエロー」が記録的なヒットをしていた時代だ。

勿論わたしもこれらのハード/プログレはすべて聴いていた。親友の彼と力をあわせて購入して聴いていた。もはやビートルズの時代ではなかったが、ベースは二人ともビートルズファンなので、バッド・フィンガー、パイロット、ベイシティローラーズ、エンジェルなども買っていた。わたしはついに彼にラズベリーズを聴かせたがめちゃくちゃ気に入ったのは言うまでもない。

何度もいうが彼に偏見はなかった。わたしはハード/プログレ以外にも、バリー・マニロウやアラン・シャンホー、レイコニフ・シンガーズ、チャリー・リッチ、ホット・チョコレート、KC&サンシャインバンドなどを紹介したが彼も文句なく気に入った。そして勿論プレスリーも。

この時代ZEPPLINの「フィジカル・グラフティ」とプレスリーの「ナウ」を同時期に聴いてる趣味の人間は珍しかったはずだ。ただわたしはどれも全部好きだった。逆にいうと同じサウンドやジャンルだとすぐに飽きるのだ。パンクの後はオペラとか、ギターの後はマリンバとか全然真逆じゃないと頭が疲れるのだ。それは今も変わらない。

というわけで本題だが。わたしはプレスリーの晩年の酷評された時代、つまり1970年代中盤が1番好きなのである。勿論若い頃の彼は凄い。ただわたし自身プレスリーの捉えかたが他の人はかなり違う。わたしは彼を単なるカントリーシンガーだと思っている。カントリーシンガーの若いあんちゃんが、たまたま顔がよかったので間違えて「キング・オブ・ロック」になってしまった。時代に取り込まれて彼の人生はとんでもない方向にいったような感覚。そして1つの時代が落ち着いて、味わいのあるいいカントリーシンガーに戻ったような感じ。この時代に発売された彼のアルバムはみんなそういう感じで、とてもリラックスして聴ける。

で、特にいいのが。いいといっても集中録音の小出し発売なので、彼のアルバムを作品ごとに比較して評価することはほとんど意味がない。

ずばりいって「エルヴィス・ナウ」が素晴らしいのは「Early Mornin' Rain」の歌唱に尽きる。Bディラン曲、PPMで有名な曲で曲調はニルソンの「エブリバディトーキン」を思わせる洒落たナンバーだが、プレスリーがこういう曲を歌うと、ホント、鉄板、鉄壁、完璧にイカしている。この時代の彼がいいのは、こういうヒットとまったく関係なくいい曲を淡々歌っているナンバーがいくつも発見できるからである。もう最高に贅沢な宝探しといえる。

後「Hey Jude」だが、これは賛否両論だが、わたしは非常にゴスペルぽくて大好き。あまりビートルズを意識せずに聴けば意外とプレスリーにあっている曲だ。「We Can Make The Morning」もプレスリーの圧倒的な歌唱が素晴らしい。やはりこのスケールの大きさは凄い。でもやはり、ジャンプスーツの老いどれロックンローラーより、カントリーテイストで「Early Mornin' Rain」をさらりと歌う伝説のカントリーシンガーとしてして生涯を終えて欲しかった。

静かにさりげなく始まるオープニングの「Help Me Make It Through The Night」は泣けます。「Until It's Time For You To Go」は珠玉のバラード。とにかくこのアルバム、ジャケットはひどいですが中身はほとんどバラードばかりなので最高です。しかし、もうちっとジャケットはなんとかならんかったのでしょうか?何度もいいますが「Early Mornin' Rain」の歌唱を聴いていない人にプレスリーを語る資格はないと思います。プレスリーのこの曲の歌唱には人生を変える力さえ溢れています。
by mizuki1957 | 2010-04-02 17:07 | Country


青春時代に夢中になった思い出の隠れた名盤、老後の楽しみ用の名盤を独自の感性でご紹介致します。


by mizuki1957

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